「年金、3年ぶり増額改定」か!?

ライフプラン・リタイアメントプラン(社会保障)

2022年11月22日の日本経済新聞に「年金、3年ぶり増額改定」と題する記事が載りました。
合わせて「来年度1.8%増、マクロスライド発動」「物価高で実質目減り」「民間試算 インフレ2.5%を補えず」と見出しがありました。

記事の主旨は、「足元の物価上昇を踏まえ2023年度の公的年金は3年ぶりに引上げになる」との点です。

<背景>

・年金の給付は物価と賃金が上がる局面では、給付が増えるのが原則
・少子高齢化で寿命は伸びる(年金給付総額が増加になる)が、保険料の担い手は減少するため、マクロ経済スライドで年金給付額を抑えます

<ポイント>

<スケジュール>

・2023年1月に厚生労働省が2023年度の年金改定額を発表する見通しです。実際の改定額がどうなるかは、その発表をまつことになります。

ここでマクロ経済スライドとは何か?についてふりかえっておきます。
マクロ経済スライドは2004年に導入された仕組みです。物価や賃金の上昇で伸びる年金給付額を抑制します。

マクロ経済スライドは
・給付の抑制は保険料を支払う被保険者数や平均余命の変動により決まります。
・物価や賃金がマイナスの場合は発動されません。
・2018年から「キャリーオーバー制度」が導入され、発動されなかった「積残し分」を物価上昇を伴う景気回復期に積残し分を含めて一気に反映して抑制する仕組みになりました。

実際の改定額(2023年度)はマクロ経済スライドにより物価の伸び率より低く

厚生労働省が発表した2023年度の公的年金額の引上げは1.9%~2.5%となりました。
増加額としては2022年の物価が2.5%上昇していますので、その増加に及ばないことになります。

これがマクロ経済スライドが発動の結果となります。
マクロ経済スライドによる抑制率は2023年度分で0.3%、2021年度、2022年度の2年度分で0.6%となっています。

年金受給者の生活に物価上昇分の負担感が増す中で、マクロ経済スライドが発動され、生活への圧迫はより厳しいものとなっています。一方年金制度の持続にはマクロ経済スライドは必要なものとなっており、少子高齢化の中では税金のさらなる投入の検討が欠かせないものとなっています。

コメント

error: Content is protected !!
タイトルとURLをコピーしました