経営者保証の改革プログラムで経営者の個人保証が2023年3月から不要となる!

相続・事業継承

経営者個人が会社の連帯保証人となる「経営者保証」が一般的に行われている。これは融資の回収が、倒産により出来なくなった場合に、会社の経営者個人の家や、自家用車などの資産から回収する手段であるが、人道的ではないと経営者から批判されてきた。
経済産業省、金融庁、財務省は2022年12月23日に「経営者保証」の改革プログラムを発表しました。

「経営者保証」改革プログラムの概要

・創業5年以内以内のスタートアップは経営者保証が不要となる信用保証制度が始まります。
・民間金融機関に保証必要性の説明義務を課し、金融庁への報告が必要となります(2023年4月から)
・創業5年を超えた事業者も経営者保証を解除できる信用保証制度が始まります(2024年4月から)

「経営者保証改革プログラム」の策定について:金融庁 (fsa.go.jp)

経営者保証改革プログラムを策定しました (METI/経済産業省)

経営者保証改革プログラムを策定しました : 財務省 (mof.go.jp)

中小企業庁:経営者保証のガイドライン (meti.go.jp)

創業5年以内のスタートアップ信用保証制度の創設

起業をためらう原因のひとつに、経営者保証があり、保証を不要にする制度により支援されます。起業の阻害要因の一つである経営者保証が不要となる一方、金融機関にとっても安心できる融資実行となります。ただ経営者保証をなくすと、融資の「焦げ付き」も予想されるため、損失を補填する費用として補正予算で約120億円が計上されました。
・2023年3月開始
・信用保証協会に0.2%の上乗せ保証料を負担
・保証上限額3500万円で全額保証
・無担保

民間金融機関に保証必要性の説明義務

金融庁が監督指針を改正し、経営者保証をつける場合に、その必要性を説明する義務を課します。
・2023年4月開始
・2023年9月期実績から金融庁への報告が必要
・金融庁では「金融機関から経営者保証の説明がない」場合の相談窓口を設置し、問題があれば金融機関に特別ヒアリングを行う。

創業5年を超えた事業者の経営者保証を解除できる信用保証制度の創設

中小企業信用保証法の改正案を2023年の通常国会に提出する予定で、スケジュール通りに進めば、2024年4月からの開始となります。
・法人から代表者への貸付がないこと
・決算書類などを定期的に金融機関に提出していること
・経営状態に応じた上乗せ保証料が生じる

全国銀行協会での申し合わせ。「安易な個人保証を求めず」

2023年1月19日に全国銀行協会ではスタートアップ支援について力を入れていく方針を加盟行で申し合わせた。スタートアップは強固な財務基盤や担保となる資産が乏しいが、事業価値や将来性に着目した融資の促進や、環境の整備に貢献する、としています。ただ「合理的な範囲内で経営者からの個人保証を妨げるものではない」ともしています。

2022年度の倒産について

帝国データバンクによるとスタートアップの倒産が全体の約3割と高水準になっているとのことです。これには起業が活発になった背景もあるが、起業をためらう要因の一つである「経営者の個人保証」に頼らない融資の制度が必要になっている。

スケジュール

開始内容説明
2023年3月創業5年以内は経営者保証をとらない信用保証制度創設
2023年4月民間金融機関に保証必要性の説明義務を課す
2023年9月期実績から金融庁へ保証必要性の説明の報告金融庁に専用相談窓口が設置される
2024年4月経営者保証の解除を選択できる信用保証制度の創設

まとめ

会社が倒産すると、金融機関は融資を回収するために経営者保証を通じて経営者本人が会社に代わって返済することを求めます。経営者保証は経営の規律を求めることになる一方、経営者が自身の破産を恐れて思い切った事業再生ができなかったり、経営者の高齢化により事業継承を図っても、後継者が経営者保証を恐れて阻害要件となったりしています。
経営者保証は民間金融機関融資の7割に及ぶと言われており、事業の責任を代表者個人に求め、その結果代表者個人の生活まで壊してしまうと、批判を受けもいました。
このような慣行が是正され、健全な起業環境が整備されることに「経営者保証」改革プログラムが資することを期待します。

https://twitter.com/largent_hanasi

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